五月一日に思い出すこと
2009-05-01


鳶の鳴く 空まだ暗し 静かなる 日と明けてゆく 五月一日

 学生の頃まで、この日になると決まって思い出すのが釋超空のこの短歌だった。朝、布団の中で目を覚ます。今日の空はどうだろうか。鳶が空高く舞っているだろうか。いつもそんなことを考えながら耳を澄まして外の様子を窺った。雨音はしない。大丈夫だ。でも晴れているか曇っているかは分からない。
 意を決して布団を抜け出し、ガラス戸を開け、雨戸を開ける。雨戸の隙間から差し込む光の具合でだいたいの様子はつかめる。記憶では天候に恵まれた年が多かったように思う。だから寝過ごして5時を過ぎようものなら、朝の陽光が容赦なく目つぶしのように襲ってきて一瞬、眼の裏が真っ白になった。
 この季節4時前でも外はかなり明るい。短歌のとおりの景色を見るためには、3時過ぎには起きている必要がある。しかし前夜そのつもりで布団に入り十分な余裕をもって起き出したという記憶は少ない。ある年、4時前に目を覚まし、期待して空を見上げたらどんより曇ったように見えてがっかりしたことがある。それでも耳を澄まして見上げていると、聞き覚えのあるピーヒョロロというあの鳴き声が遠くの空から聞こえてきて嬉しかった。
[季節の言葉]
[短歌]
[雑記]

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